げばんとはうす・・・シューマンピアノ五重奏曲

 

シューマンという人はよくわかんないなと思っていたけれど

暗くてねじ曲がった人だったんだなというのが

よくわかった気がする。

そしてベートーヴェンとの連続性

結局はベートーヴェンが完成型と言えるまでに整えたソナタ形式という枠組みの中で

いかにそれを超克しようともがいたか

１楽章で展開部をねちっこくこねくり回した挙句、投げ出すようにあっさり終了させたり

なんでこんなにスケルツォに力まなくちゃならないのか

というような３楽章

ベートーヴェンなら

漲り溢れる喜びにじっとしていられないというような終楽章になるところを

大して嬉しくもないような

カラ元気なだけのメロディーをくどくどしく繰り返すのは

あれきっと

そうでもしないと自分を納得させられないからなんじゃなかろうか

自分は生き生きしてるんだとアピールしないとそう思って貰えないような。

『水戸黄門』の予定調和の中に『非情のライセンス』の筋書きを詰め込もうとしているような無理くりさ加減

その鬱屈を描き出すことができたのは同じゲルマン民族ならではのことなのだろうと

いろいろな点で腑に落ちて納得できた演奏会だった